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USBフラッシュメモリで持ち運べるLinux環境を作る

USBフラッシュメモリから起動する実用的で快適なLinux環境を構築しよう

この記事では、USBフラッシュメモリから起動可能な "実用的で快適なLinux環境" を構築するための手順を解説しています。 つまり "手軽に持ち運べるLinux環境を手に入れる" ということです。

また、本ウェブサイトで構築するUSBフラッシュメモリ起動のLinuxは、以下の性能を満たすことを目標としています。

- 満たすべき性能 -
  1. Windows 8.1世代のPCでも30秒以内にログイン画面が表示されること
  2. セキュアブートが有効なPCでも起動できること
  3. 起動用USBフラッシュメモリ内にデータ用パーティションを確保できること(文書の保存やWindowsとのデータの受け渡し)

前提

この記事で構築する "USBフラッシュメモリ起動のLinux" は、ディストリビューションとして MX Linuxを利用します。

UbuntuやLinux Mintも試してみましたが、起動に時間がかかるため実用的ではありませんでした。 また、antiXも試してみましたが、こちらはセキュアブートが有効なPCでは起動できませんでした

人気のLinuxディストリビューション、かつ、実用的に使えそうなのがMX Linuxだったというわけです。

また、この記事ではMX LinuxをインストールしたPCが手元にあることが前提です。

まだインストールしていない場合は、MX Linuxにも挑戦してみよう > MX Linuxのインストールと初回起動の記事に従ってMX Linuxをインストールしてください。

MX Linuxをインストールせずに作業を進めることもできます。 その場合は、この記事ではなく以下の姉妹サイトを参照ください。

  1. USBメモリ起動のLinuxを作る

構築作業は大まかに分けて2つ

構築作業の手順は大まかに分けて、

  1. リマスタ
  2. USBフラッシュメモリへの書き込み

の2つになります。 では、それぞれについて以下で解説します。

リマスタ

では "USBフラッシュメモリ起動のLinux" の構築作業を始めましょう。 まずは "リマスタ" の作業を行います。

リマスタとは、現在のシステムの内容を元に新たにMX LinuxのISOイメージファイルを作る作業です。 つまり "自分だけの独自のMX Linuxを作成する" ということです。

作成したISOイメージファイルをUSBフラッシュメモリ(やDVD)に書き込むことで、インストーラやライブ起動メディアとして利用できるようになります。

  
MX Linuxの公式サイトで配布されているISOイメージファイルと同等の使い方ができます。 ライブ起動メディアにもなればインストーラにもなります。

なお、リマスタには付属のツールであるMX スナップショットを利用します。 それではMX スナップショットを起動しましょう。

1. MX スナップショットを起動する
1. MX スナップショットを起動する

上図のように(1)のアプリケーションメニューをクリックし、(2)の "MX ツール" にマウス(マウス)を乗せ、(3)の "MX スナップショット" を実行します。

2. MX スナップショットが開く
2. MX スナップショットが開く

上図のようにMX スナップショットが開きます。 多くの項目が並んでいますが、設定が必要な項目はありません。 [→ 次へ]ボタンを押して次へ進みましょう。

3. 不要なディレクトリにチェックを入れる
3. 不要なディレクトリにチェックを入れる

上図のように次の画面に移ります。 この画面ではファイルの除外や配布目的の選択を行えます。 初期値のままでも問題ありませんが、外出先で不要なディレクトリがあればチェックを入れておきます。

  
作成した文書やデジカメから取り込んだ写真・ダウンロードしたファイルなどを持ち歩く必要はないでしょうから "上記すべて" にチェックを入れるのが簡単でいいかもしれません。
  
[除外するファイルを編集]ボタンを押すことで細かく指定することもできます。

不要なディレクトリにチェックを入れたら[→ 次へ]ボタンを押して先へ進みましょう。

4. 最終確認
4. 最終確認

上図のように最終確認のメッセージが表示されますので[OK]ボタンを押します。

5. 認証
5. 認証

上図のように認証画面が表示されます。 パスワード(P)を入力し、[認証する(A)]ボタンを押します。

6. ISOイメージファイルの作成が始まる
6. ISOイメージファイルの作成が始まる

上図のようにISOイメージファイルの作成が始まります。 時間がかかる作業をただ待つのみです

  
Windows 10世代のPCでも10分以上はかかるかもしれません。
7. 成功
7. 成功

上図のように処理が正常終了すると "成功" メッセージが表示されます。 [OK]ボタンを押してメッセージを閉じます。

8. MX スナップショットを終了する
8. MX スナップショットを終了する

上図のように[閉じる]ボタンを押してMX スナップショットを終了します。

これで、稼働中のこのシステムのISOイメージファイルが完成しました。 つまり "自分だけのMX Linux" のISOイメージファイルです。

続いては、このISOイメージファイルをUSBフラッシュメモリに書き込んで起動メディアを作成します。

USBフラッシュメモリへの書き込み

続いて、MX スナップショットによって作成されたISOイメージファイルをUSBフラッシュメモリに書き込みます。

まずは、ファイルマネージャを開きます。

1. ファイルマネージャを起動する
1. ファイルマネージャを起動する

上図のように画面左部にあるパネルからファイルマネージャを起動します。

2. ホームボタンを押す
2. ホームボタンを押す

上図のようにファイルマネージャが開きますので、ウィンドウ上部にある[ホーム]ボタンを押します。

3. ↑ボタンを押す
3. ↑ボタンを押す

上図のようにホームディレクトリに移動しますので、続けて[↑]ボタンを押します。

4. snapshotディレクトリへ移動
4. snapshotディレクトリへ移動

上図のように "snapshot" というディレクトリがありますのでクリックします。 ダブルクリックではなく、クリックです。

  
"snapshot" ディレクトリはMX スナップショットによって作成されました。
5. MX Live USBメーカの起動
5. MX Live USBメーカの起動

上図のように "snapshot" ディレクトリにはMX スナップショットによって作成されたISOイメージファイルがあります。 このISOイメージファイルをクリックしてください。 ダブルクリックではなく、クリックです。

6. MX Live USBメーカが起動
6. MX Live USBメーカが起動

上図のようにMX Live USBメーカが起動します。 ファイルマネージャは邪魔ですので、ここで閉じておきます。

7. デバイスの一覧のデバイス名を確認しておく
7. デバイスの一覧のデバイス名を確認しておく

上図のように "USBデバイスのターゲットを選択" にはデバイスの一覧が表示されます。 この一覧のデバイス名を記録しておいてください(上図の例では何もデバイスはありません)。

記録を終えたら、中身が消えても問題のないUSBフラッシュメモリをPCに挿してください

8. ファイルマネージャが開くので閉じる
8. ファイルマネージャが開くので閉じる

上図のようにUSBフラッシュメモリを挿してしばらく待つと新たにファイルマネージャが開きます。 ファイルマネージャは不要ですので閉じておきましょう。

9. デバイスの一覧を更新する
9. デバイスの一覧を更新する

上図のように[ドライブのリストを更新]ボタンを押します。 デバイスの一覧が更新されます。

10. 新たに増えたデバイスを選択する
10. 新たに増えたデバイスを選択する

上図のように "USBデバイスのターゲットを選択" に新たに増えたデバイスを選択します(上図の例では sdc が増えている)。

続いて詳細な設定を行います

11. 詳細設定を表示
11. 詳細設定を表示

上図のように[↓ 詳細設定を表示]ボタンを押します。

12. 詳細な設定が表示される
12. 詳細な設定が表示される

上図のように新たに "詳細オプション" が増えています。 それでは、これらの項目を細かく設定していきましょう。

13. 自動マウントの一時的な無効化とデータ用パーティションの確保
13. 自動マウントの一時的な無効化とデータ用パーティションの確保

上図のように自動マウントの一時的な無効化とデータ用パーティションの確保を行います。 詳細は以下の通りです。

項目 設定値
一時的に自動マウントを無効に チェック
別のデータパーティションを作成 (%) チェック / 50%
Data partition format type ntfs

今回の例ではデータ用パーティションにはUSBフラッシュメモリの容量の半分(50%)を割り当てています。 必要に応じて調整してください

  
データ用パーティションは、文書の保存やWindowsとのデータの受け渡しに利用します。
  
書き込み先のUSBフラッシュメモリの容量からISOイメージファイルのファイルサイズを引いた残りを指定するのがよいでしょう。

これで詳細な設定は終わりました。 詳細オプションはもう閉じましょう。

14. 詳細オプションを隠す
14. 詳細オプションを隠す

上図のように[↑ 詳細オプションを隠す]ボタンを押します。

15. 書き込み
15. 書き込み

上図のように[→ 次へ]ボタンを押して書き込み処理へ進みます。

16. 続行の確認
16. 続行の確認

上図のように続行してよいかを聞かれますので、[はい(Y)]ボタンを押して続行します。

  
 
書き込み先のUSBフラッシュメモリの容量が 128GByte を越える場合は、続けて右図の警告が表示されます。

 容量が大きいため、間違えて内蔵HDDやSSDを指定していないかを心配してくれているというわけです。

 間違えていないことを確認し、[はい(Y)]ボタンを押して続行してください。
17. 認証
17. 認証

上図のようにパスワードの入力を求められます。 パスワード(P)にパスワードを入力し、[認証する(A)]ボタンを押してください。

18. 書き込みの開始
18. 書き込みの開始

上図のように書き込みが開始され、進捗が表示されます。 この処理にはしばらく時間がかかります

19. 書き込みの終了
19. 書き込みの終了

上図のように書き込みが終了すると "完了" ダイアログが表示されます。 [OK]ボタンを押してダイアログを閉じましょう。

20. MX Live USBメーカの終了
20. MX Live USBメーカの終了

上図のように[閉じる]ボタンを押してMX Live USBメーカを終了します。

これで、USBフラッシュメモリに起動用メディアを作成することができました。 システムをシャットダウンしUSBフラッシュメモリを取り外しましょう

USBフラッシュメモリからの起動テスト

作成したUSBフラッシュメモリが正常に動作することを確認しましょう。 作成した起動メディアをUSBポートにセットし、PCの電源を入れます。

MX Linuxの起動メニューが表示されますので、いつもの通りに起動してください。

USBフラッシュメモリからの起動方法について


何も操作しなくてもUSBフラッシュメモリから起動するPCもあれば、F12キーなどの特定のキーを押すことでUSBフラッシュメモリを起動元として選択できるようになるPCもあることでしょう。

また、USBフラッシュメモリを検知して "USBから起動するには何かキーを押してください" というメッセージを表示し、一定時間内に何かキーを押した場合だけUSBフラッシュメモリから起動するPCもあります。

お使いのPCのUSBフラッシュメモリからの起動方法がわからない場合は、"<PCの機種名> USBから起動" のようなキーワードでGoogleなどの検索サイトで検索してみてください。

データ用パーティションのボリュームラベルの変更

仕上げとして、必要ならデータ用パーティションのボリュームラベルを変更します。

この時点では、データ用パーティションのボリュームラベルは、"USB-DATA" となっています。 MX Live USBメーカが勝手に決めた名前です。 "これではわかりにくい "と思う場合は、わかりやすいボリュームラベルに変更しましょう。

作成したUSBフラッシュメモリをWindows PCに挿し、エクスプローラーから変更するのがオススメです。 手順は以下の通りです

1. USBフラッシュメモリを選択してF2キーを押す
1. USBフラッシュメモリを選択してF2キーを押す

上図のようにエクスプローラー上でUSBフラッシュメモリを選択します。 このように初期状態ではボリュームラベルは "USB-DATA" となっています。

では、F2キーを押してください。

2. ボリュームラベルを変更可能な状態になる
2. ボリュームラベルを変更可能な状態になる

上図のようにボリュームラベルを変更可能な状態になります。 わかりやすい新たな名称を入力してください。 入力を終えたらEnterキーで確定します。

3. ボリュームラベルが変更される
3. ボリュームラベルが変更される

上図のようにボリュームラベルが変更されます。

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