この記事では、コピー&ペーストの操作方法について解説します。 文書を執筆するにも、画像を作成するにも、ウェブで調べものをするのにもコピー&ペーストの機能は欠かせません。
ただし、コピー&ペーストの解説の前に、もっと基礎的な部分について説明しておきます。
本ウェブサイトでは、ここまでLinux Mintの入門的な内容について解説してきました。 してきましたが、とても大切な部分を紹介していませんでした。 それは、X Window Systemというものについてです。
ウィンドウシステムとは、
といった部分のことです。 つまり、複数のアプリケーションを同時に実行し、マウスやキーボードでそれらを切り替えて利用することができるのはウィンドウシステムのおかげなのです。
X Window Systemというのはあくまでも規格であり、実際に動作しているソフトウェアの名称ではありません。
実際に動作しているのは、X Window Systemの規格に従って実装されたソフトウェアである
X Window Systemは略して
それでは、本題のコピー&ペーストの解説に入ります。 タイトルの通り、X Window Systemのコピー&ペーストには2通りの系統があります。 明示的なコピー操作が必要なものと、必要ないものの2系統です。
それら2系統のそれぞれの名称は、
といいます。
CLIPBOARDによるコピー&ペーストは、Windowsでのコピー&ペーストと変わりはありません。 コピーする範囲を選択し、CTRL+Cでクリップボードに情報を格納します。
続いてペーストする先でCTRL+Vを押し、クリップボードの内容を貼り付けます。 難しいことは何もありません。
つまり、
の3段階です。
PRIMARYによるコピー&ペーストは、Windowsに慣れている人にはやや抵抗があるかもしれません。 というのも、利用者が明示的にコピー操作をする必要がないのです。
ペースト操作はマウスの中ボタン()のクリックです。 マウスの中ボタン()でクリックすると、貼り付けが実行されます。 では、何が貼り付けられるのでしょうか。 それは、範囲選択されている部分です。
つまり、コピーする範囲を選択し、コピー先でマウスの中ボタン()をクリックすればいいのです。 操作は、
の2段階で済みます。
では、テキストエディタを使って実際にコピー&ペーストを行ってみましょう。 テキストエディタを2つ立ち上げ、一方からもう一方へコピーしてみます。
上図のようにテキストエディタを起動します。 もちろん、新規ドキュメントが開かれた状態になります。
では、続いて2つ目のテキストエディタを起動しましょう。
上図のようにテキストエディタをさらに起動します。
上図のように最初に起動したテキストエディタの2つ目のタブとして新規ドキュメントが開かれます。 2つ目のウィンドウが開くかと思いましたが、そうはなりませんでした。
仕方がない。 片方のタブを別ウィンドウに分離しましょう。
上図のように片方のタブをウィンドウ外までマウスの左ボタン()でドラッグします。 赤色の矢印はドラッグの動きを表しています。
上図のようにウィンドウが2つに分かれます。 では、見やすいようにウィンドウの位置を整理しましょう。
上図のようにウィンドウを見やすく配置します。
では、どちらか片方のドキュメントに数行ほどの文章を入力しましょう。
上図のように片方のドキュメントに文章を入力します。 今回の例では、
ここが1行目です。 次は2行目です。 そして最終行です。
と入力しています。
では、2行目を、もう一方の文書にコピーしてみましょう。 CLIPBOARDによるコピー&ペーストを行います。
上図のように2行目を範囲選択します。 これで、範囲選択が完了しました。
次に、コピー操作を行います。
上図のようにプルダウンメニューの"編集(E) -> コピー(C)"を実行します(またはキーボードのCTRL+Cを押します)。
これで、2行目の内容がクリップボードに格納されました。 あとは、ペーストを行うだけです。
上図のようにもう一方のテキストエディタのプルダウンメニューの"編集(E) -> 貼り付け(P)"を実行します(またはキーボードのCTRL+Vを押します)。
上図のように2行目の内容がペーストされました。 このように、CLIPBOARDによるコピー&ペーストはWindowsでの操作と変わりません。
続いては、PRIMARYによるコピー&ペーストを行ってみましょう。 今回は3行目をコピーします。
上図のように3行目を範囲選択します。 この選択操作により、CLIPBOARDのクリップボードとは別の領域に自動的にコピーが行われます。
続いてペースト操作を行います。 もちろん、コピー操作は必要ありません。
上図のようにペーストしたい先をマウスの中ボタン()でクリックします。
上図のように3行目の内容がペーストされました。 このように、明示的なコピー操作をすることなくコピー&ペーストを行うことができます。
PRIMARYによるコピー&ペーストは、"ミドルマウスペースト" とも呼ばれます。 前の記事で登場した『マウスの設定』画面の設定項目の "ミドルマウスペーストを有効化" で有効/無効を切り替えることができます。
UNIX系OSでのウィンドウシステムは、X Window System という規格に準拠しているものがほとんどです。 実装は X.Org Server と呼ばれるソフトウェアが主流であり、ほとんどのUNIX系OSが X.Org Server を採用しています。
X Window Systemでのコピー&ペーストには2系統があり、それぞれの名称は、
といいます。
CLIPBOARDは明示的なコピー操作が必要であるため、
の3段階の操作が必要です。 一方、PRIMARYでは、
の2段階で済むため、コピー操作は不要です。 なお、PRIMARYによるコピー&ペーストは、"ミドルマウスペースト" とも呼ばれます。