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家族それぞれでユーザを分ける

  

複数人で利用できるようにする

この記事では、1台のPCを複数人でプライバシーを保護しつつ利用するための方法を解説します。 具体的には、家族全員で1台のPCを共有する場面を想定しています。

なお、今回の例では、

  1. 太郎
  2. 次郎
  3. 花子

の3人家族だと仮定しています。 また、太郎はインストール時にユーザを作成済みとします。

ユーザの種類についてのおさらい

ここで少し脱線し、ユーザの種類についておさらいしておきます。 過去の記事で説明したように、Linux系OSではユーザは下記のように3種類に分けることができます

  1. 管理者ユーザ(root)
  2. 標準ユーザ(管理者権限を持てる)
  3. 標準ユーザ(管理者権限を持てない)

ただし、これも過去記事で説明しましたが、今どきのLinux系OSでは管理者ユーザ(root)でログインすることはできません。 よって、利用するのは、

  1. 標準ユーザ(管理者権限を持てる)
  2. 標準ユーザ(管理者権限を持てない)

のどちらかになります。 なお、インストール時に作成したユーザは強制的に、

  1. 標準ユーザ(管理者権限を持てる)

になります。

つまり、インストール後にユーザを追加していないのであれば、現時点で存在するユーザは、

  1. 標準ユーザ(管理者権限を持てる)

だけ、ということになります。

次郎と花子に管理者権限を与えるかどうか

太郎のユーザはすでに存在しています。 インストール時に作成したユーザのことで、管理者権限を持てるユーザです。

よって、新たに追加するユーザは次郎と花子が使うユーザですが、考えなければならないのが、次郎と花子にシステム管理作業の権限を与えるかどうかです。

ここでは仮に、

  1. 次郎にはシステム管理作業を覚えさせたい
  2. 花子はまだ子供なのでシステム管理作業は任せられない

という判断をしたものと仮定します。

そうなると、新たに追加するユーザは以下のようになります。

利用者 ユーザID ユーザの種類
次郎 jiro 標準ユーザ
(管理者権限を持てる)
花子 hanako 標準ユーザ
(管理者権限を持てない)

次郎にはシステム管理作業の権限を与え、まだ子供である花子には権限は与えません

  

実際に次郎と花子のためのユーザを追加する

では、実際にユーザを追加しましょう。 追加するユーザの情報を以下に再掲載します。

利用者 ユーザID ユーザの種類
次郎 jiro 標準ユーザ
(管理者権限を持てる)
花子 hanako 標準ユーザ
(管理者権限を持てない)

上表のように、次郎にはシステム管理作業の権限を与え、花子には権限は与えません

それでは作業を始めます。 まずは次郎のユーザから作成します。

1. Linux Mintメニューから "コントロールセンター" を実行する
1. Linux Mintメニューから "コントロールセンター" を実行する

上図のようにLinux Mintメニューを開き、"システム" の下にある "コントロールセンター" を実行します。

2. コントロールセンターから "ユーザとグループ" を実行する
2. コントロールセンターから "ユーザとグループ" を実行する

上図のようにコントロールセンターが開きますので、"ユーザとグループ" を実行します。

3. [追加(A)]ボタンを押す
3. [追加(A)]ボタンを押す

上図のようにユーザの設定画面が開き、左部には作成済みのユーザが一覧で表示されています。 では、ユーザを追加しますので[追加(A)]ボタンを押してください。

4. 認証
4. 認証

上図のようにパスワードの入力を求められます。 ユーザの追加はシステム管理作業であるためです。 パスワード(P)に太郎のパスワードを入力し、[認証する(A)]ボタンを押してください。

5. ユーザ情報を入力する
5. ユーザ情報を入力する

上図のように "新しいユーザの作成" ウィンドウが開きます。 名前(N) と ユーザ名(U) を入力して[OK(O)]ボタンを押します。

  
名前(N) や ユーザ名(U) には漢字やひらがな・カタカナなどの全角文字は使わないようにしましょう。
  
"秘密にしておきたいデータを守るためにホームディレクトリを暗号化(E)" にチェックを入れると個人データが保護され、本人以外はどうやっても中身を見ることができなくなります。 ただし、パスワードを忘れた場合にはデータを永久に失ってしまいます。
6. パスワードを入力する
6. パスワードを入力する

上図のように追加するユーザ "jiro" のパスワードの入力を求められます。 新しいパスワード(P) と パスワードの確認(F) にパスワードを入力し、[OK(O)]ボタンを押します。

なお、パスワードは次郎が考えたものである必要はありません。 後ほど、次郎に変更させますので、ここでは一時的なパスワードを入力すれば大丈夫です。

7. 次郎のユーザが追加されている
7. 次郎のユーザが追加されている

上図のように一覧に次郎のユーザが増えているのがわかります。 これで次郎のユーザが追加されましたが、まだ作業は終わりではありません。 システム管理作業の権限を与える作業が残っています

8. アカウントの種類(T)の[変更(C)...]ボタンを押す
8. アカウントの種類(T)の[変更(C)...]ボタンを押す

上図のように一覧から次郎のユーザ "Jiro Yamada" が選択されていることを確認し、"アカウントの種類(T)"の右にある[変更(C)...]ボタンを押します。

9. ユーザの種類を変更
9. ユーザの種類を変更

上図のように "ユーザ・アカウントの種類を変更" ウィンドウが開きますので "管理者" を選択し、[OK(O)]ボタンを押します。

  
"管理者" を選択しても管理者ユーザ(root)になるわけではありません。 紛らわしい表記ですが、"管理者ユーザ(root)" ではなく "標準ユーザ(管理者権限を持てる)" に変更されます。
10. ユーザの種類が管理者に変更される
10. ユーザの種類が管理者に変更される

上図のように "アカウントの種類(T)" が "管理者" に変更されます。 これで次郎のユーザは、

  1. 標準ユーザ(管理者権限を持てない)

から、

  1. 標準ユーザ(管理者権限を持てる)

に変化しました。 太郎に続き、2人目となるシステム管理作業が行えるユーザが誕生しました。


では次に、花子のためのユーザを追加します。 なお、花子は、

  1. 標準ユーザ(管理者権限を持てない)

として作成します。 システム管理作業の権限は与えません

11. [追加(A)]ボタンを押す
11. [追加(A)]ボタンを押す

上図のようにユーザ一覧の下にある[追加(A)]ボタンを押します。

12. ユーザ情報を入力する
12. ユーザ情報を入力する

上図のように "新しいユーザの作成" ウィンドウが開きますので、名前(N) と ユーザ名(U) を入力して[OK(O)]ボタンを押します。

13. 認証
13. 認証

上図のようにパスワードの入力を求められます。 ユーザの追加はシステム管理作業であるため、パスワードが求められたというわけです。

では、パスワード(P)に太郎のパスワードを入力し、[認証する(A)]ボタンを押してください。

14. パスワードを入力する
14. パスワードを入力する

上図のように 新しいパスワード(P) と パスワードの確認(F) に追加するユーザ "hanako" のパスワードを入力し、[OK(O)]ボタンを押します。

15. 花子のユーザが追加されている
15. 花子のユーザが追加されている

上図のように一覧に花子のユーザも追加されました。 花子にはシステム管理作業の権限は与えませんので、ユーザの追加作業はこれで完了です

ただし、太郎にはまだやるべきことがあります。 次郎と花子にパスワードを教えなくてはなりません。 設定したパスワードを次郎と花子に伝えてください

さらに、次郎と花子にはパスワードを変更させなくてはいけません。 このままではパスワードを知っている太郎が次郎と花子のユーザでログインできてしまいますから。

なお、パスワード変更の手順は以下になります。

次郎と花子にパスワードを変更させる

次郎と花子にはパスワードを変更する作業が残っています。 今のままではパスワードを知っている太郎がログインできてしまいますので。

なお、次郎のパスワードが次郎自身が変更し、花子のパスワードも花子自身が変更します。

ここでは花子の作業を例に手順を解説します。 なお、今は花子でログインしている状態だと仮定しています。 太郎でログインしての作業ではありませんので、注意してください。

1. ユーザの設定画面を開きパスワード(P)の[変更(C)...]ボタンを押す
1. ユーザの設定画面を開きパスワード(P)の[変更(C)...]ボタンを押す

上図のようにユーザの設定画面を開き、一覧から "Hanako Yamada" が選択されていることを確認します。 確認したら "パスワード(P)" の右にある[変更(C)...]ボタンを押します。

2. パスワードを変更する
2. パスワードを変更する

上図のようにユーザのパスワードの変更画面が表示されます。 現在のパスワード(C)に現在のパスワードを、新しいパスワード(P) と パスワードの確認(F) に新たなパスワードを入力し、[OK(O)]ボタンを押します。

  
次郎のパスワードの変更の手順も花子と同様です。
  

まとめ

1台のPCを複数人で共有するなら、それぞれユーザを分けるのが賢明です。 その際に考慮しなければならないのが、システム管理作業の権限を誰に与えるかです。

システム管理作業の権限を与えるなら、

  1. 標準ユーザ(管理者権限を持てる)

としてユーザを作成し、それ以外の利用者には、

  1. 標準ユーザ(管理者権限を持てない)

でユーザを作成します。

ユーザの作成はコントロールセンターの "ユーザとグループ" から行います。 作成したユーザは初期状態では、

  1. 標準ユーザ(管理者権限を持てない)

となりますが "アカウントの種類(T)" を "管理者" に変更することで、

  1. 標準ユーザ(管理者権限を持てる)

に変化します。

なお、ユーザ作成時に "秘密にしておきたいデータを守るためにホームディレクトリを暗号化(E)" にチェックを入れるとホームディレクトリ以下が暗号化されます。

暗号化することで本人以外は中身を見ることができなくなりますが、パスワードを忘れてしまうとデータを永久に失う事になります。

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